はじめに|「猫は水を飲まない」は危険な誤解
猫の祖先は砂漠で暮らしていたため、元々水を飲む量が少ない生き物です。しかし、現代の猫はドライフード中心の食生活により、積極的な水分補給が不可欠。適切な量を理解せずにいると、気付かないうちに脱水症状を引き起こす危険性があります。
1. 猫の水分必要量の計算式
基本計算(健康な成猫)
体重1kgあたり50ml/日
(例:4kgの猫なら200ml/日)
詳細バリエーション
条件 調整量 ウェットフード主食 -20% 暑い季節 +15% 授乳中 +30% 腎臓病 獣医師の指示要
※計算例:5kgの猫が夏場にドライフードを食べている場合
5kg×50ml+(5kg×50ml×0.15)=287.5ml/日
2. 水分摂取源の内訳(ドライフードの場合)
- 自発的飲水:60~70%
- フード中の水分:8~10%
- 代謝水(体内で生成):20~30%
ウェットフードの場合は、70%がフード由来の水分となるため、自発的飲水量が大幅に減少します。
3. 水分不足が招く4大疾患
① 泌尿器症候群(FLUTD)
- 濃縮尿による結石形成
- 発症リスクが3倍に上昇
② 慢性腎臓病(CKD)
- 腎臓への負担持続
- 進行速度が2倍加速
③ 便秘
- 大腸内の便硬化
- 2日以上排便なし
④ 皮膚トラブル
- 被毛のパサつき
- フケの増加
4. 家庭でできる「水分チェック法」
簡易テスト3種
- 皮膚弾力テスト
肩の皮膚をつまみ、離して2秒以内に戻らないと脱水疑い - 歯茎チェック
指で軽く押して白くなり、3秒以上ピンク色に戻らない場合は危険 - 尿色判定
- 無色~薄黄色:適正
- 濃い琥珀色:水分不足
- オレンジ色:緊急受診が必要
5. 水分摂取を促す7つの工夫
- 流水型給水器の設置(猫は動く水を好む)
- 水飲み場を5箇所に分散(リビング・寝室など)
- 氷遊び(砕いた氷を床に撒く)
- フードに水分添加(ドライフード:水=1:1)
- 猫用スープの活用(無塩の鶏ささみスープ)
- 陶器の水容器(プラスチック臭を防止)
- 夜間の水交換(新鮮さを保つ)
6. 年齢別・体調別の注意点
〈子猫(~1歳)〉
- ミルクからの移行期は特に注意
- 1kgあたり60mlを目安
〈老猫(7歳~)〉
- 喉の渇きを感じにくくなる
- ウェットフード比率を50%以上に
〈療養中〉
- 腎臓病:たんぱく質制限と水分増加
- 下痢:電解質補給が必須
7. 水分過多の危険信号
適切な量を超える摂取も問題に:
- 1kgあたり100ml以上の飲水
- 薄い尿が頻繁に出る
- 嘔吐を伴う場合
※考えられる原因:糖尿病・甲状腺機能亢進症など
まとめ|「量」と「質」の両輪で管理を
猫の水分管理で重要なのは:
✅ 「計算式」で適正量を把握
✅ 「多様な摂取方法」を用意
✅ 「尿の状態」を日記につける
「うちの子は水を飲まないから」と諦めず、まずは水飲み場の環境改善から始めてみましょう。3日以上水分摂取が極端に少ない場合は、早めの専門相談が肝心です。
《猫泌尿器科医の助言》
「適切な水分摂取は、5歳からの腎臓病予防に直結します。 成猫期の習慣が老後の健康を左右するのです」
≪水分管理チェックシート≫
□ 本日の飲水量:____ml
□ 尿の色:□無色 □薄黄 □濃い黄 □琥珀色
□ チェック項目:□皮膚弾力 □歯茎 □食欲
※毎日同じ時間に記録すると変化に気付きやすい

