はじめに|「猫=魚好き」は大きな誤解?
ペットショップの棚に並ぶ「魚ベース」と「肉ベース」のキャットフード。実は猫の本来の食性と現代の栄養学を考えると、選択基準はもっと複雑です。愛猫の健康を左右するタンパク源選びのポイントを解説します。
1. 猫の祖先から見た「本来の食性」
野生のヤマネコは主に以下の獲物を食べていました:
- 鳥類(60%):スズメ・ハトなど
- 小型哺乳類(30%):ネズミ・ウサギ
- 昆虫・爬虫類(10%)
このデータからわかるように、魚は自然な食生活の一部ではなかったのです。沿岸地域の猫以外は、魚を日常的に摂取する機会はほとんどありませんでした。
2. 肉ベースフードの3大メリット
① 筋肉維持に最適
鶏肉・牛肉に含まれるロイシンは、猫の筋肉量保持に不可欠。老猫のサルコペニア(筋肉減少症)予防に効果的。
② 消化吸収率が高い
肉タンパクは魚より分子構造が単純で、消化管への負担が少ない。特に胃腸が弱い猫に向いています。
③ アレルギーリスク低減
魚アレルギーを持つ猫は肉アレルギーの約2.3倍。初めてのフード選びでは肉ベースが無難。
3. 魚ベースが優れるケース
〈こんな猫におすすめ〉
- 腎臓病リスクが高い:魚のEPAが腎機能をサポート
- 皮膚トラブルがある:オメガ3脂肪酸が炎症緩和
- 食欲不振気味:強い香りで食いつき向上
〈注意点〉
- マグネシウム含有量:泌尿器症候群(FLUTD)の猫は要確認
- 重金属汚染:大型魚(マグロ等)使用製品は週2回までに制限
4. 専門家が教える「最適な選び方」
年齢別アドバイス
- 子猫(~1歳):鶏肉ベースで消化促進
- 成猫(1~7歳):複数タンパク源をローテーション
- 老猫(7歳~):魚ベースで関節ケア
体調に合わせて
- 毛艶改善:サーモン+鶏肉の混合
- ダイエット中:ターキー(低脂肪高タンパク)
- 口腔ケア:鹿肉(咀嚼回数が増える硬さ)
5. 意外な落とし穴|「味」と「主原料」の違い
パッケージに「サーモン味」とあっても、主原料が穀物の場合があります。チェックすべきは:
- 原材料の最初の3項目:肉・魚が最初に記載されているか
- タンパク質含有量:30%以上が理想
- 添加物:着色料(赤色102号等)は避ける
6. 理想的な与え方|「肉7:魚3」の法則
完全肉ベースでも魚ベースでもなく、週単位でローテーションさせるのが最適。例えば:
- 月~木:鶏肉メイン
- 金・土:サーモンベース
- 日:ダックや鹿肉などレアプロテイン
これで栄養バランスと食の楽しみを両立できます。
7. 特別ケース|手作り食の方向けアドバイス
- 肉:鶏ささみ(低脂肪)・牛赤身(鉄分豊富)
- 魚:鯖(水煮)・カレイ(骨ごとペースト)
- 禁忌食材:
✖ 生のイカ・タコ(ビタミンB1分解酵素)
✖ 骨付き鶏肉(消化管穿孔の危険)
まとめ|「どちらか」より「両方の良さ」を
キャットフード選びで本当に重要なのは:
✅ 「肉か魚か」より「総合的な栄養バランス」
✅ 「愛猫の体調」に合わせた柔軟な選択
✅ 「ローテーション」で偏りを防ぐ
「うちの子は魚しか食べない」という場合も、少量の肉フードを混ぜることから始めてみましょう。猫の食性は本来多様性に富んでいます。さまざまな味と食感を楽しめることが、心と体の健康につながります。
《猫栄養学の第一人者の言葉》
「100匹いれば100通りの適正食がある。 肉と魚の比率も、その子の『個性』の一部と考えましょう」

